日本情報科教育学会(JAEIS)第9回全国大会
2003(平成15)年に新設された情報科は、情報活用能力の3つの観点をそれぞれ柱とした「情報A」、「情報B」、「情報C」の3つの科目構成で始まりました。その後、2008(平成20)年の学習指導要領改訂において、『情報の科学的理解』と『情報社会に参画する態度』にそれぞれに重きをおいた「情報の科学」、「社会と情報」の2科目構成に改編されました。また、新設から10余年を経て、教材研究や実践例の蓄積も進んでいます。このように黎明期にあった情報科は、次の段階に向けてさらなる発展を迎えようとしています。
そのような中で、中教審の検討部会において、2018(平成30)年に予定されている次期学習指導要領の告示に向けた議論が行われています。そこでは、社会の多様な変化に主体的に関わっていける子どもたちを育み、グローバル社会を生き抜くための「21世紀型スキル」を身につけるアクティブ・ラーニングの視点に立った学びの導入などが検討されています。また情報科においては「情報の科学的な理解に裏打ちされた情報活用能力を身に付けるため、統計的な手法の活用も含め、情報と情報技術を問題の発見と解決に活用するための科学的な考え方を育成する」共通必履修科目の設置が検討されています。大学入学者選抜に関する答申においても、大学入学希望者学力評価テスト(仮称)に情報科に対応する科目の設置が検討されており、情報科の重要性はさらに高まると期待されます。
次期学習指導要領では、教科の構成・内容だけでなく、新しい学びの方法や評価方法が求められることが推測されます。それらの情報科に求められる教育を、情報科としてどのように捉え、実現していくのか、つまり情報科の目指す教育についてしっかりと検討・議論して発信していくことが必要です。それによって、求められる教育と目指す教育とを接続していくことが重要です。そこで、次期学習指導要領の検討がまとまりつつあるこの時期に、「情報科に求められる教育と情報科が目指す教育」というテーマのもとで情報科の未来を考え、第9回大会を開催したいと考えています。
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