日本情報科教育学会の設立に向けて
~ 趣意書 ~
高等学校の教科「情報」は必履修として新設され,2003年度より年次進行で実施されています。その後,各地で情報教育に関する研究会が多数発足し,学校現場では担当教員によりさまざまな工夫を施した授業が行われています。
また,2005年8月には,情報科教育に係る中央教育審議会・専門部会が設置され,教育課程の改訂に向けて審議が行われ2年が経過しました。私たちは,教科「情報」の教育に関心のあるものとして,「情報」の教科教育を専門とする学会の必要性を痛感しております。
私たちは,情報科教育の発展のために日本情報科教育学会の設立を提案し,関心ある皆様方のご協力とご支援のもとに進めてまいりたいと考えております。
(設立の趣旨)
新たに教育課程が編成される際には,長期にわたる継続した教育研究が必要ですが,情報教育に係る種々の担当者が短期で交代することになったり,また,研究者や教員においても研究テーマや担当教科の変更等を余儀なくされたりして,教育研究を継続して行なうことが困難な場合があります。このような状況にあっても,情報教育について長期にわたり継続した研究を維持するためには,その教科に係る諸課題を直接に研究のテーマとする組織が必要になります。
私たちは,このような状況を共通に認識し,情報科教育研究を継続的に進めるため,関心をもつ多くの関係者に広く呼びかけ,研究の推進を支援しその研究成 果を交流する場を提供するとともに,それらを社会に還元できる組織として,日本情報科教育学会の設立を進めてまいります。
周知のように情報教育に関係する学会はいくつもありますが,教科を中心に置き,その教育学的・哲学的な研究はもちろんのこと,教科の在り方について,恒常的・組織的に研究を進めている学会はありません。このことは,教育現場や教育行政のみならず,国内外の社会においても重大な問題といわざるを得ません。教育系の学会は,必ずしも規模の大きさではなく,例えば,半世紀にもわたる長い期間において,個人研究はもちろんのこと,組織的・恒常的にも研究を行い,将来においても持続することが,各方面から信頼される最大の要因となります。
以上のように,情報科教育研究におきましては,優れた研究者・実践者の養成に加え,それを支える組織が必要であるという状況をご理解いただきまして,本学会の設立に向けてご協力・ご支援を賜りますようよろしくお願いいたします。
2007年11月吉日
「日本情報科教育学会」呼びかけ人
赤堀 侃司 (東京工業大学教授,日本教育工学会会長)
雨宮 真人 (九州大学名誉教授,電子情報通信学会副会長)
安西 祐一郎 (慶應義塾長,前情報処理学会会長)
伊理 正夫 (東京大学名誉教授, 日本測量調査技術協会会長)
岡部 成玄 (北海道大学教授)
岡本 敏雄 (電気通信大学大学院教授,教育システム情報学会会長)
筧 捷彦 (早稲田大学教授)
川合 慧 (放送大学教授,中央教育審議会・専門委員)
香山 瑞恵 (信州大学准教授)
坂元 昂 (日本教育工学振興会会長)
佐藤 万寿美 (兵庫県立西宮今津高等学校教諭,中央教育審議会・専門委員)
清水 康敬 (メディア教育開発センター理事長,中央教育審議会・専門委員)
白井 克彦 (早稲田大学総長)
高橋 参吉 (千里金蘭大学教授)
田中 規久雄 (大阪大学准教授)
中條 道雄 (関西学院大学教授)
中川 正樹 (東京農工大学教授)
中村 直人 (千葉工業大学教授)
西野 和典 (九州工業大学准教授)
西之園 晴夫 (佛教大学教授)
本田 敏明 (茨城大学教授)
益田 隆司 (電気通信大学学長)
松田 稔樹 (東京工業大学准教授)
松原 伸一 (滋賀大学教授,中央教育審議会・専門委員)
宮寺 庸造 (東京学芸大学准教授)
夜久 竹夫 (日本大学教授)
山西 潤一 (富山大学理事・副学長,日本教育工学協会会長)